ソニー生命の社員、石井伶容疑者が不正に170億円横領した詐欺事件で、170億円を暗号資産のビットコインに換えていましたが、アメリカFBIと連携し全額を差し押さえられました。
ソニー生命が横領された当時の170億円は、価値が上がり207億円になっていました。このお金はどうなるのか。資産を増やした石井伶容疑者は英雄なのか?をみていきます。

ソニー生命社員石井伶容疑者が170億横領した詐欺事件
2021年5月、ソニー生命の再保険事業の「エスエー・リインシュアランス」(英領バミューダ)の清算業務を担当していた社員が、口座から、約170億円を不正に別口座に送金し騙し取ったとして、ソニー生命の社員・石井伶容疑者(32)が逮捕されています。
あまりに巨額な詐欺事件で、その行方が心配されていましたが、アメリカの連邦捜査局FBIによって全額が差し押さえられたことが分かりました。
石井伶容疑者は、在宅勤務だった今年5月、上司の承認を得たように装い、大西洋の英国領バミューダ諸島にある子会社名義の口座から1億5000万ドル、日本円にして約170億円を、海外の別の口座に不正に送金してだまし取った疑いがもたれています。
そして、石井伶容疑者は、21日、石井被告が、騙し取った170億円を、暗号資産のビットコインに交換していたことが新たに判明しています。
石井容疑者は、「ビットコインに換えたら(口座が)凍結されないと思った」と話していて、計画的な犯行であったことが伺えます。
警視庁がアメリカ連邦捜査局FBIと提携して捜査を進めたところ、カリフォルニア州にある銀行の口座に送金した直後に、全額を暗号資産ビットコインに交換し、外部のネットワークから遮断された「コールドウォレット」と呼ばれる場所に、保管していたことが分かりました。
ここで、全く聞きなれない「コールドウォレット」という言葉が出て来たので、調べてみました。
「コールドウォレット
コールドウォレットとはインターネットと完全に切り離されたウォレットのことを指し、一般的にオフライン環境であってもスマートフォンやPCに秘密鍵を置いたものをコールドウォレットと呼ぶことはありません。
コールドウォレットを利用することで、ユーザーはバックドアなどの不正アクセスによって仮想通貨が盗まれることがなくなります。コールドウォレットの種類としては、秘密鍵を紙に書き記した「ペーパーウォレット」、金属やコイン、または安全な専用デバイスなどで秘密鍵を管理する「ハードウェアウォレット」があります。
コールドウォレットはインターネットに対して極めて安全な一方で、物理的に秘密鍵を保管しておく必要があることから、現実の窃盗や紛失に弱い面もあることは認識しておく必要があります。また、支払いなどには使いにくいことから、コールドウォレットはあくまでも保管目的で用いられ、日常の財布には別のウォレットを併用して利用することが多いです。」
ということです。ネット社会において、仮想通貨が盗まれることのない安全な場所ということのようです。
そして、その仮想通貨をアメリカ連邦捜査局FBIが、被害金を全て差し押さえることが出来たということです。
ソニー生命の替えられた170億円のビットコインの行方
ソニー生命は、石井伶容疑者によって英国領バミューダ諸島にある子会社名義の口座から1億5000万ドル、日本円にして約170億円を、海外の別の口座に不正に送金されて被害にあったわけです。
ソニー生命の被害金は、約170億円でした。しかし、全て暗号資産のビットコインに変換されていたため、ビットコインのレートの増価によって回収時には約207億円になっていたというのです。
つまり、ビットコインの価値が、37億円上がったということ。

暗号資産(仮想通貨)のビットコイン が6日の取引で5月半ば以来の高値を更新した。8月撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)
アメリカ連邦捜査局FBIは、全額を差し押さえたということで、今後ソニー生命に返還する手続きを進めることにしているということです。
すると、ビットコインの価値が挙がったことによって増えた37億円は、ソニー生命がもらうってことになるの?という疑問が湧きたってきます。
増えた37億円というのは、ソニー生命持っていたお金ではありません。しかし、ソニー生命のお金をもとにして、増えたお金であることは明白です。こういった場合、ソニー生命には170億円が戻るのか207億円が戻るのか?下世話な疑問が頭の中で渦を巻いてしまいます。
それは、誰もが思う疑問のようで、ネットで話題になりまくっています。
「ビットコインすげえええ」
「30億どうすんだ?
俺にくれるのか?」
「FBIが持っていくんじゃないのか。」
「30億もソニー生命に決まってんだろ
増えたとき渡さないなら減ったときも170億返してくれてたんか?
ギャンブルで勝ったやつにたかるくせに負けたときにはドンマイで終わりの大学生かよ」
「貸し株の要領でいけばビッコイン全部ソニー生命に返還されるよね」
「アメリカの弁護士がいっぱい儲けます」
「アメリカは犯罪で得た利益にも課税するからね。没収ートだな。」
改めてビットコイン事態に驚く声も多く、そして増えた37億に関して、ソニー生命がもらえるという声や、アメリカが録ってしまうという意見、さらには、石井容疑者に返却されるなんて言うのもありました。
素人の意見は千差万別。なので、ここは、専門家に聞くほかありませんね。
ソニー生命への返却は170億?207億?
となると、専門家として登場してくるのが、弁護士の先生となってきます。
金融犯罪に詳しい、弁護士法人アドバンスのパートナー弁護士・正畠大生氏は「本人の手元に戻るのはないと考えていただいていいんじゃないかと」と、取材に対し話しています。
さらに、
「(法律に基づいて)全額が没収されて、一回国のほうで207億円全額を持っていくことになる。その後、170億円がソニー生命に支給されることになるので、(差額の37億円は)国が没収の結果として持っていくことになるのではないか」出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/51e3bcd70637d53ae3e877621fcdff0c14ee0d1e
と話されています。
つまり、ソニー生命には170億円の損失分だけ戻るとの見方です。
しかし、もう一人の先生の意見も見てみました。「弁護士法人 天音総合法律事務所」の正木絢生代表弁護士によると、「本件は多くの国が関連する事件であり、どこの国の法律が適用されるかによって異なる結論になる」ということを前提とし、発生した利益がアメリカから日本に渡され、日本の法律で処理する場合について話しています。
「今回は、ソニー生命の子会社の口座からカリフォルニアの口座に移されたドルが、ビットコインに変換されていますが、この変換は『犯罪被害財産を隠匿する行為』にあたり、組織財産防止法による没収の対象となります。
没収が行われた場合、全額について、まず国庫に帰属します。その後、ソニー生命に被害回復給付金支給制度によって被害金が返還されることになります。その場合に損害として返還される範囲は、失った財産の価値として検察官が定めた金額です。
そうすると、ソニーの子会社から送金された1億5500万ドルの価値、つまり約170億円の範囲に限られます。返還されなかった部分については最終的に国庫に帰属することになるでしょう」
出典:https://www.j-cast.com/2021/12/24427813.html?p=all
ということになると、2人の先生の結論として、ソニー生命が受け取る金額は170億であろうと思われます。そして増益した37億の部分については、「国庫」のようです。つまり、この事件で得したのはソニー生命でも石井怜容疑者でもなく、日本であったようです。
石井怜容疑者はヒーローなのか
170億の詐欺事件の当初は、石井伶容疑者に対してネットでは、「懲役刑に服して出てきた後は大金持ち」とか言われていましたが、実際はそうはなりませんでした。
しかし、ビットコインに変換し170億を207億にしたことが分かると、ネットでは石井伶容疑者を冷ややかながらも称賛する声すら出てきています。
「30億で無罪にしてやれよ」
「表彰モンじゃん!」
「会社の信用失墜は百億2百億じゃ取り戻せないわな」
「やりて社員じゃん」
「凄い相場観やなw ソニー生命の支店長に昇進だろw」
「ソニーの錬金術師」
といった具合です。
確かに、ビットコインに変えたことで170億円のお金の価値を増やしてはいます。しかし、これは隠そうとしてたまたま増えただけのこと、減っていれば、170億円も返せなかったところです。
しかし、石井伶容疑者の単独の犯行とは驚きです。170億を動かすとか、前代未聞の事件でした。ソニー生命は、これに懲りて気を引き締めないといけませんね。
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